第13話 Zero hour 滅びゆくもの! (最終回)




最 終 回 !!








 「あんたを滅ぼせ、ですって…」
 「待てレゾ!シャブラニグドゥを復活させるつもりか!
 自分の目を開かせる為に、また同じ轍を踏むと言うのか!」

 「いずれはこうなる運命だった。魔王の魂は力を蓄え、再び私の魂を食い尽くす」







 「ちょっと待って。
 それじゃあんたは私達への復讐じゃなくて…自分の中に眠っている魔王を封じる為に…」

 「私は貴方達に運命を託す事にした。気に病む事はない…それにもう一度光を見る事が出来た」
 「レゾ、お前…」
 「さあ!魔王を今一度滅ぼしなさい!た、のみましたよ…」

 「レゾ、レゾ!!」
 
「駄目よ、ポコタ!あれは……もう」

















 「滅びなさい、魔王の亡霊よ!」
 「長き夢を見ていた。虚ろの夢、滅びの夢、混沌の闇の底で常しえの夢を…」

 「ゼロスさん!」
 「レゾさんの魂を食らい、魔王として目覚めるその瞬間ならば、と思ったのですが…」
 「それじゃぁ本当に…」
 「再び相まみえる事があろうとは…我もまたお前との再会を夢見ていた」
 「こっちは、そんなのこれっぽっちも望んじゃいなかったんだけどね」
 「その目の輝き、絶望を知らぬその輝き…その光こそ我に悪夢を見せた者…」









 「何かやばいぞ」
 「逃げて!!」
 「間に合わん!」
















 「あいたた…」
 「ここは!?」
 「ゼロス!」
 「すいませんねぇ、皆さんをここまで運ぶのが精一杯だったもので…」
 「ゼロス、お前が俺達を!?」
 「ええ。今、リナさん達を失う訳にはいきませんからね…魔王を撃つ為に」
 「何だって!」
 「いえ、魔王の亡霊とでもいうモノ」
 「魔王の亡霊?」
 「ええ。あれはかつてリナさん達が戦った魔王そのモノではありません」
 「…!」
 「…!」
 「完全な魔王ではないというのか」







 「ええ。魔竜王ガーヴを覚えてらっしゃるでしょう」
 「ガーヴ…」
 「ガーヴって、誰だ」
 「ええっと、どっかで」
 「ガーヴは普通とは違う形で復活をした為、僕達魔族に弓を引く存在になってしまいました。
 同じように、本来ならあり得ない形での復活を遂げたあの魔王がどうなるか…想像もつきませんね。
 なら僕達魔族としても、そんなものを放置しておくのは本意ではありませんから」

 「魔王の亡霊を処分する事。それがあんたに与えられた使命、って訳ね」
 「そんな訳でして。今リナさんがやられちゃうのは僕としても困った事になっちゃいますので…
 亡霊とはいえ魔王は魔王。それを滅ぼせるのは、ただ一つ」

 「それは重破斬(ギガ・スレイブ)か?」
 「重破斬?何だそれ?」
 「かつて、シャブラニグドゥを倒した呪文の事よ」
 「そういう呪文があるなら、なんでさっさと使わねえんだよ!」





「そう簡単にはいかないわよ!」



「あの呪文は本当に一か八か。この世界を滅ぼしかねない禁断の技」
「世界を滅ぼす…」




「そうほいほい使えるんなら、ザナッファーにだってぶちかましてたわよ」










 「一体何事か。何が起こっておる」
 「お、おやじ」
 「あーそれがだな、おっちゃん」
 「おっちゃん…!?」
 「詳しくは言ってらんないんだけど、皆をとにかく避難させて」
 「そうだ、早く逃げんるんだ!出来るだけ遠くに…!!早く逃げろ!!」
 「何を言う、折角復興を始めたこの国を捨てろと言うのか!?」
 「お気持ちは分かりますけど、今は」
 「バカヤロウ!国ってのはここに住む民、皆の事だ。民さえいれば国は何度だって復興出来る!」
 「確かに、そなたの言う通りだ。皆を安全な場所へ。
 ──民こそが国。よくぞ言ってくれた。確かにその通りだ」

 「人の受け売りだよ。いいから早く皆を。……っ!?」

 「我を滅びの夢に誘う者よ…共に滅びの道を歩むがいい」

 「タフォーラシアの皆は早く逃げて!早く!!」







 「…!」
 「ポセル…」
 「!!」
 「親父!違うそいつは!!」
 「違うの、タフォーラシア王。あそこにいるのはポセル王子じゃなくて」
 「何を言っておる。あそこにおるのがポセルじゃなくて、何者だというのだ」
 「おっちゃん!」
 「いけない!!」
 「駄目だ親父!!親父ーー!!」







 「親父、早く逃げるんだ!!」
 「お前…」
 「いいから逃げるんだ!!」

 「生ある者よ、全て滅びの道を歩むがいい」
 「…!」
 「おりゃぁあー!!──くそぉ!」
 「呪霊四王縛(アストラル・ブレイク)!」
 「早く逃げろ」
 「並の呪文じゃ、これで精一杯か」

 「絶望を知らぬ者よ、我と共にありて共に滅びの道を歩むがいい」















 「こりゃひでぇ…」









 「滅びを拒み混沌を望む者よ。何故抗う?いずれ訪れる悠久の眠りを何故拒む」
 「!逃げて!!」

 「光よ!」

 「これが、シャブラニグドゥの滅び」
 「辛うじて通じるのはガウリイの光の剣だけ。──やるしか…ないのか…」
 「冗談じゃねぇ!折角タフォーラシアは復興の道を歩き出したんだ!
 それをこんな所で閉ざされてたまるか!」

 「ポコタ!」
 「この国が疫病に襲われた時も、眠りの封印に覆われている時も、俺は諦めなかったんだ!
 こんな所で諦められるかよ!」






黄昏よりも昏きもの

血の流れより紅きもの

時の流れに埋もれし

偉大なる汝の名において

我ここに闇に誓わん




「止めろポコタ!」
 「無理よ!竜破斬(ドラグ・スレイブ)はシャブラニグドゥの力を借りた魔法!」



我等が前に立ち塞がりし

すべての愚かなるものに

我と汝が力もて

等しく滅びを与えんことを



竜破斬!


「皆ここから消えて無くなれぇーー!」





 「どういう事?魔王の力を借りた竜破斬がその魔王に通じる訳ないのに」
 「こいつ等、キリがねぇ!」
 「そうか、竜破斬が利いている訳じゃない!」






黄昏よりも昏きもの

血の流れより紅きもの

時の流れに埋もれし

偉大なる汝の名において

我ここに闇に誓わん




「リナ!?」



我等が前に立ち塞がりし

すべての愚かなるものに

我と汝が力もて

等しく滅びを与えんことを



竜破斬!










 「今よ!
 ──竜破斬はシャブラニグドゥの力を借りた呪文。強制的にその力を引き出す事が出来るわ」

 「強制的に力を引き出す?」
 「そしてあの無数の禍々しい化け物は魔王の力そのもの。
 本体から独立してしまった力は、竜破斬の術で強制的に力として消費され形を保てなくなる」

 「いい?あたしとポコタで竜破斬を連打叩き込んで血路を開く。
 上手く懐に潜り込めたら…全力で神滅斬(ラグナ・ブレード)を叩き込んでやるわ!」


 「黄昏よりも昏きもの」
 「あああー!!」
 「たああぁぁー!」
 「崩霊裂(ラ・ティルト)!」







 「竜破斬ーー!!」
 「竜破斬!」
 「竜破斬!」
 「竜破斬!」
 「竜破斬!」
 「竜破斬!」





 「マズイ…このままじゃ」
 「いけませんね…リナさんの消耗が、──!!」






「「……!!」」















 「近づけない…神滅斬を封じられた…」
 「ここまでですね。僕に出来るのは……」
 「無茶な事を…」
 「滅びを望む者が何故何かを守ろうとする」
 「我らが望むものは己の意思と力。我らが望む滅びとは、己の意思と力で成し得たもの。
 そんな事も忘れてしまいましたか」











「霊王結魔弾(ヴィス・ファランク)!」




「やぁああ──!」




「させない!ここから先は一歩も行かせない!!」





 「アメリア!」
 「…っあああぁああーーー!」
 「アメリア!!
 「アメリア!」





「俺達に構うな!」
「ゼル!!」




「リナ、お前は…!」




「あぁああああああっぁああ!!」




「───ぐはぁあ!!」










 「重破斬しかないっていうの?だけど、一度使ったからこそ分かる。
 あの呪文がどれほど危険なものなのか…
 混沌の海に落ちていくあの恐怖。見渡す限り寄る岸辺の見えぬ漆黒の闇に己の魂が沈んでいく。
 しくじれば、同じ目に皆を晒す事になる…」


 「であああー!──ゼルガディス!!」
 「レゾに改造された体が、これ程ありがたいと思った事はないな…」
 「…!」

 「あの時はガウリイを助ける為にあの呪文を使った。でも、今度はあの混沌の渦に皆を…」
 
 「あぁああああぁああーー!!」





 「おい。やれる事をやらないまま終わるつもりなのかよ。俺は今度こそ自分のやれる事をやってやるぞ」
 「ポコタ」
 「頼む…俺を…あそこに」
 「ここまで来たら、後はお任せしますよ」
 「ポコタ!あんた何を!?」






「うぉおおー!堪えてくれ、光の剣よ!!」




「ガウリイ!」



「あぁああー!!」




 「リナ、迷うな!お前は自分の信じた事をやればいい!
誰にも文句なんか言わせやしない!」







 「ガウリイ!」

 「これか…」

 「──ぐ、っああ!!」

 「今の俺に出来る事はこれしかねぇんだ」




「リナ!撃っちまえ!!」




「皆の命、預かった!!」




四界の闇を統べる王

汝の欠片の縁に従い

汝ら全員の力もて

我にさらなる魔力を与えよ




「愚かな…愚かなる者よ」



 「一度はくれてやった体だ。今更返せなんて言わねえ。
だけど、これ以上好きにさせる訳にはいかねえんだ!
たかが人間だって必死に生きてるんだ。
それを勝手に滅ぼそうだなんて、許さねえ!」




「ポコタ!」



「ポコタが作ったこのチャンス、逃す訳にはいかない!!」



闇よりもなお昏きもの

夜よりもなお深きもの

混沌の海よたゆたいし存在

金色なりし闇の王

我ここに汝に願う

我ここに汝に誓う

我が前に立ち塞がりし

すべての愚かなるものに




我と汝が力もて

等しく滅びを与えんことを!









「皆の思い、無駄にはしない!!」





「金色の夢を見る者よ。我と共に滅び、同じ虚ろの夢を見よ!」








「もう少しだけ…もう少しだけ、力を!」











重破斬!













「…お見事です。滅ばざるモノを滅ぼす者。
貴方はまさしく、スレイヤーズと呼ぶに相応しい」








「滅びなさい……」



「魔王の亡霊よ…」











 「ポコタは、どうなったんだ?」
 「あの時、ポコタは自分の冥王の壷を割って本来の自分の身体に戻った」
 「そして……」
 「そんな……それじゃ、ポコタさんは……」
 「さすがに魔王の魂とぶつかり合ったんじゃ、人間の魂なんて…
 全く…これからタフォーラシアを元通りにするって仕事があったはずなのに……どうすんのよ……
 ───んがっ!?」

 「どうするって、んなのコツコツやっていくしかねえだろ」





「なぁ!?」
「を?」
「あ、あんた生きてんの!? 何で!?」
「何でって……」



「これでさよならか」
「いえ」
「!」
「貴方は、残りなさい」




「ま、何となく!」








 「何となくだぁ!?ふざけるんじゃないわよ!!あんなにしんみりに終了ってとこだったのに!
 ポコタ!責任取んなさいよっ」

 「は!?責任って何だよ!?無茶苦茶言うなよ、このヘコ胸!」
 「きーっ!!」
 「お?何すんだよ?」
 「お前はあっち!」
 「うわぁ!!──?」
 「おお……ポセルよ。その目を見れば分かる、我が息子よ…」
 「お、親父…。親父ぃいいー!!」





「親子って、良いもんね」
「ああ。そうかも知れんな」







 「あの……レゾさんの事は…?」
 「いや。いいんだあいつの事は」
 「リナも郷里が恋しくなったか?」
 「いやぁ〜、まだ郷里に帰るのは早いわね。ガウリイの剣も探さなきゃなんないし」
 「またそれか」

 「──ほれっ!!」






「よっしゃぁ!!じゃまた、ぱぁあああーっと行くわよ!」

「おうっ!」

「早くしないと、置いてっちゃうよー!!」

























ありがとうスレイヤーズ!!

この最終回の感想を書くに辺り、そんな言葉しか出てきませんでした。
もう全てがそれに繋がると言っていいくらい、この楽しさワクワク感嬉しさは寧ろ ”幸せ” に近かった。
放送終了をこれだけ寂しいと思うアニメと出会える事は二度と無いんだぜ……おっと目から謎の汁が。・゚・(ノ∀`)・゚・。
ありがとう。心の底からありがとう。楽しかった!!大好きだ!!
昔も思ったものですが、やはり”スレイヤーズ”という作品はこれからどれだけ私が歳を重ねようと、ずっと愛している作品です。
あぁあああー!ホントに楽しくて幸せだったーー!!

願わくば、再びこうしてスレイヤーズの感想を綴れる日が来ますように。





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やろうと思えばまた続編出来そうなラストだったので、いつまでも期待しながら待っていようと思う









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