ある日のWeb拍手にて ───
こんなメッセージが届いておりましたので、自分なりに ”洋榎主将のここが凄い!!” 的なことを語りたくなりました。
丁度、本編では準決勝の中堅戦がスタート間際ですので、タイミングもすばらだなと。
もちろんキャラの好き嫌いは個人の自由ですが、好きになってくれる人が増えると良いなーと思います。
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愛宕洋榎の魅力の一つとして欠かせないのが、やはりその闘牌。
個人的に洋榎主将の一番怖いところは ”瞬間判断” のえげつなさだと考えます。
彼女の闘牌の要所要所には、技術を直感の速さでやってのけているような、そんな怖さがあるような気がしてなりません。
もちろん純粋な運も強い方で ─── つまり、運と技術の融合っぷりが素晴らしい選手だと思うのです。
その最たる例が ─── 「そんなん考慮しとらんよ…」 でお馴染みの、 <全国大会一回戦・鹿老渡(広島)vs 斐太商業(岐阜)vs 姫松(南大阪)vs
鞍月(石川)> の中堅戦でした。
この闘牌は既に色々なところで解説されているので、もう不必要かとも感じるのですが。
当サイトではまだ纏めたことが無かった(当時の私が麻雀を勉強し始めたばかりだったので、この闘牌の豪壮さを理解出来ていなかった)ので、改めて振り返ってみたいと思います。
もう知ってるよー、という人様も復習がてらに目を通して頂ければ幸いです。
南四局 |
鹿老渡(広島)のいちごちゃんの命運を分けることになった南四局。
「嶺上開花ならずや!」 など、闘牌中に軽口を叩いているイメージが強い洋榎主将ですが、その裏では実に巧妙な罠を仕掛けておりました。
まず、点数状況としては左記のような形。 姫松はたぶん漫ちゃんが─── 結構な勢いでやらかしているので☆ -57,500のビハインドを背負っています。 |
そして忘れてはいけないのが、一回戦は1位の高校のみが勝ち抜けるということ!!
現状1位のいちごちゃんは、斐太商業(岐阜)と鞍月高校(石川)には約100,000の差がありますので、まだ中堅戦とはいえども、この二校に対しては、安全圏にいると考えられます。
ならば警戒するべきは ─── やはり2位につけている姫松(南大阪)になるでしょう。
ここで注目したいのは、いちごちゃんが相手にしている姫松の選手。
その選手は愛宕洋榎というエースで主将、即ち、姫松の柱です。
姫松の爆発娘である 『先鋒・上重漫』 を沈めた今、鹿老渡にとって残された厄介な火種は
『中堅・愛宕洋榎』 ───
無論、副将の絹ちゃんや大将の末原先輩もそれぞれ優秀な力を持っていますが、決して大きく稼ぐタイプではありません。
つまり、鹿老渡はこの中堅戦を乗り切れば、一気に勝利へと近付くことが出来るのです。
2位の姫松に+57,500のアドバンテージを得ているいちごちゃんの役割は大きく分けて二つと思われます。
”姫松を更に突き放す” か ”姫松との点差を維持” するのか、です。
● ドラ表示
ターニングポイントに立ったいちごちゃんの手牌は ツモ。
を切れば の 2面待ち ───
出和了りなら、翻牌混一+ドラ6の16,000で倍満確定。
ツモ和了なら、翻牌混一+ドラ6の6,000・12,000の三倍満となります。
どちらにせよ大物手であり、おまけに は生牌!!
自分でツモれる可能性も高く、リーチを掛けている斐太商業が出してくれる可能性も大いにあります。
アガることが出来れば、2位の姫松との点差は 最低でも+73,500以上 となり、鹿老渡の勝利は目前まで迫ります。
─── しかし。
当然の事ながら、ここで油断をして自分が振り込む(姫松との点差が縮まる)ことだけは絶対に避けたい。
だから、いちごちゃんは思考を重ねます。
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親リーで仕掛けにきている斐太商業の伏屋さん。
河が の5巡目リーチですので、手の高さなんかは全く読めません。
故に、予測不能の怖さがあります。
姫松との点差を縮めない為にも、いちごちゃんとしてはこの親リーにだけは絶対に振り込みたくありません。
そして、幸いなことにいちごちゃんが切りたい は斐太商業のゲンブツでした。100%の安牌です。
また、実質オリている状態の鞍月ですが、こちらの河にも があり100%の安牌となっております。
斐太商業と鞍月には完全安牌な ─── では姫松には?
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姫松は2副露で と を見せており、親リーに加槓で挑んでいる事からテンパイであると考えるのが
妥当です。
しかも、洋榎主将は 「嶺上開花ならずや!」 と台詞にして言っておりますので、テンパイは確定と言っても相違ありません。
※なお、この辺りの描写において ”三味線” や ”マナー違反” とよく言われていると思うのですが、 【咲-Saki-】シリーズ内ではそのような場面が他にも沢山あり、また、作中で特に厳重処分をされている描写も ないことから、決してルール違反を犯している訳ではありません。彼女だけ責められるのは如何なものかと。 |
そして、先の 加槓+嶺上牌の をツモ切っていることから、役満・清老頭の芽も思考から除外されます。
姫松はチャンタかトイトイ、他に警戒するとしたら純全くらいでしょう。
副露による喰い下がりもあり、表ドラ・新ドラ関係は で
いちごちゃんが5/8を押さえ、河にも 1枚が放出。 いちごちゃんの視界から、ドラの 6/8 は死んでいる状態です。
2枚が生きているとはいえども、逆に言えばその程度。
つまり、姫松の手はどうあがいても大物手にはならないと判断出来ます。
この状態なら、いちごちゃんが最も警戒するべきは ”斐太商業の親リーに振り込む” こと!!
手の読めない親リー相手に生牌の翻牌を捨てるのは駄目駄目ですし、いちごちゃんの視界から
の4枚全てが
見えていることから、ドラ絡みの順子である確率は0%!!
仮に姫松に振り込んだとしてもダメージは少ない。それならばこの大物手を放棄するなんてありえないッ。
いけるぞ!!倍満 or 三倍満!!
アガることが出来れば、鹿老渡の二回戦進出はほぼ確定だ!!
「どうかいの!」
と ─── 勝負手にして適切な一打を放ったものの、その結果は無念。
振り込んでしまったいちごちゃんであるが、まあそれでも、”安く親を流せた”
から良しとするが ───
開かれたその役は!!
役満・清老頭!!
1・親リーに対して の加槓
2・「嶺上開花ならずや!」 のテンパイ確定宣言
3・嶺上牌 はツモ切り
以上の流れ全てが役満・清老頭と矛盾しております。
考慮しとらんどころろか、本当に ”考慮出来ないアガり” なのです。
そして、この一連の流れは洋榎主将自身が 「日頃からチャンタの安さには疑問を感じとったんやけど…今回ばかりはその
安さに感謝せなあかんな」 と言っていることから、いちごちゃんの ”考慮”
の上をいき、意図的に行なった事は明らかです。
”意図的” であるのに を加槓するまでに一切のタメや迷う描写がない ───
つまり、洋榎主将は、この判断を一瞬でやってのけたことになります。
私が冒頭で述べた ”瞬間判断” のえげつなさ、”技術を直感の速さ” でというのは、ここが大きく由来しているのです。
で、役満を張れるんだから当然強運もあるよねってことで、”運と技術の融合” だなーと。
軽い感じで打ってるのに、その実、裏では巧妙な思考・巧妙な罠を仕掛けてるとかメチャクチャ格好良いです。
魅力しかない。
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続いてはこちらの闘牌。
<全国大会二回戦・清澄(長野)vs宮守女子(岩手)vs永水女子(鹿児島)vs姫松高校(南大阪)> です。
ここでも ”後ひっかけの洋榎” や、永水・滝見春の鳴きを受け切っての ”格が違うわ”
という攻撃力を見せてくれていましたが、
この二回戦においては、その突出している攻撃力ではなく、敢えてその真逆 ”防御力” に焦点を充ててみたいと思います。
結論から言って、洋榎主将は描写のある限りでは振り込みZERO。
中堅戦一人浮きの30,000オーバー獲得者で、且つ、振り込みZERO者なのです。
攻める時には攻めて、守る時には守る ─── これがキッチリと出来ている証拠なのではないでしょうか。
南三局(一本場) |
気持ちを切り換えた部長が 切りリーチで得意の悪待ちを発揮したシーン。
部長の手は の 2面待ち。
洋榎主将は前巡で を落としていますが、この部長のリーチ直後にも、当たり牌 掴んでいます。
前巡で落としているだけ、洋榎主将にとっては完全不要牌の ですが、ここは冷静に部長のゲンブツ で対処。
一見イケイケで攻めているような描写が多い彼女ですが、相手のリーチに易く乗るようなことはしないのです。
休憩場面 |
また、休憩中にも抜け目なく先程の闘牌をチェック。
自分の直感を確信に転化させて、対局へ戻ります。
あと ─── これはどのチームにも言えることなのですが、末原先輩とこういった会話をしているということは、
部長の ”悪待ち” について事前研究が滞りなくされているということ。
情報は末原先輩が仕込んでいるのでしょうが、受けた情報をどう扱うかは結局自分次第な訳ですから、
これまでの対局を鑑みるに、洋榎主将はその事前情報と己の技術との ”報連相”
をしっかりと済ませられているのでしょう。
彼女が持つ才覚は天才と呼ぶに相応しいのでしょうが、決して才能だけで打っている訳ではないのだと。
南四局 |
部長の <オタ風大明槓 = ドラ4確定 = 満貫以上確定> でザワつくシーン。
この部長の手は の 1面待ちテンパイ。
ここでも洋榎主将は次巡のツモで、部長の当たり牌 を掴んでいます。
(あれ?もしかしたら洋榎主将って微妙に運悪い方なのか?w)
手は で、パッと見で使えない は落としてしまいたいのですが ───
洋榎主将が選択したのは、ゲンブツ のノータイム切り。
もちろん、洋榎主将視点では部長がテンパイしていることは分からない筈なのですが、
1・オタ風を大明槓している時点でテンパイしている可能性が高い
2・部長の河が萬子染めっぽいので、ゲンブツ以外の萬子は切れない
3・ を雀頭として残し、あわよくば からの順子を期待
4・そして、手牌の内 も部長のゲンブツ、手牌に があることから、ほぼ も安牌。
─── 上記の点をノータイムな ”瞬間判断” でやったのは見事であると感じます。
や、上記はゲンブツ合わせですので、私の単なる深読みかも知れないのですが、
主将の魅力は攻撃だけじゃなくて防御にもあるんだよッ!!と力説したい訳です。
これが春季大会や去年のインハイでもALLプラス収支を叩き出した実力にして結果、結果にして自信なのだと!
その他 |
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その他、謎の言動を残す場面もチラホラ。
鋭い直感に基づいた言動なのか、それとも ───
準決勝の描写にも期待したいところです。
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これは、以前にも書いたことがあるのですが、姫松のオーダーについてです。
あくまで個人的な見解なのですが、姫松のオーダーは伝統重視(中堅エース)という変則的なモノなのに、それでいて、優勝を狙いにきているオーダーが組まれているように見えて大好きです。
まず、一つ目のキーとして先鋒の漫ちゃんが上がります。
漫ちゃんはもう ”爆発か不発か” の、いわゆるギャンブルっ子ですが、姫松のようにエースを中堅に据えるとするならば、彼女を先鋒に起用するのは充分にアリだと思えます(※決して漫ちゃんの地の実力が弱いという意味ではない)
本当は千里山(北大阪)のようにエース二枚看板を張れたら最高なのですが、いないものは仕方がない
───
なら、誰を先鋒という猛者枠で殴り合わせるのが適切か。
実力的に素での対抗が難しいと判断するのなら、いっそ下手に繕うよりは、相手が強くなればその可能性が高くなるという
”爆発” に賭けてみるのは面白い。
それに、頂点に近付けば近付く程、”爆発” する可能性が上がるということにもなるのだから、賭けるだけの価値がある。
優勝を狙えるオーダー。言葉は矛盾してしまうのだけれど、”ギャンブルの中”
での ”堅実” と思える。
先鋒で稼げれば儲けもの、あとは逃げ切れば良い。
先鋒でしくじれば絶対的エースが手遅れになる前に取り返す ─── と。
あと、描写は少なかったですが、恐らくは次鋒のゆーこも攻撃を苦手とはしていません。
ドラポンの仕掛けやAislinn対策をしっかりこなして帰ってきたこと、また、準決勝でも銀メダリストのハオを相手にプラス収支での凱旋を果たしたことから、攻撃と防御のバランスは良い筈です。
特別な得意は無いのかも知れませんが、特別な苦手も無いのでしょう。
信頼と安心の二番槍 ─── 漫ちゃんがヤられても次鋒の彼女でトビ終了といったことは考えられません。
漫ちゃん不発の際のカバーが出来る布陣が整えられています。
そして、後はバランス型でアナログ対応も出来る絹ちゃん、超早和了りの末原先輩で逃げると。
姫松はその様子が一回戦・二回戦の両方で顕著に出ていましたから、オーダーがしっかり機能しているなあと感心しきりです。
二回戦の末原先輩はトヨネの 『先負』 にやられましたが、超和了りを武器と誇れるだけのリーチ&テンパイ率でしたしね。
ただ ─── 上記はあくまで ”愛宕洋榎のプラス収支” を前提としたオーダーであり、彼女への信頼があってこそ組めるオーダーです。
姫松の中心はやはり愛宕洋榎であると。
ボケボケなところもありますが、彼女の背中はきっと広く大きいものなのでしょう。
妹の絹ちゃんが焦がれるのも分かるし、何となくですが、同学年の末原先輩が敬語使っちゃうのも分かる気がします。
うむ。
以上のことから、私はチームとしても大好きです、姫松。
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主将の魅力として、もう一つ欠かせないところは、その家族構成!!
皆さんご存知の通り 【咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A】 にて、母の雅枝さんや従姉妹のフナQも登場しております。
ただしその所属は姫松(南大阪)ではなく、他校の千里山女子(北大阪)として!!
もうこれだけで様々な想像が広がります。
・同じ大阪に籍を置きながら、敢えて母と違う学校に所属した理由とは!?
(もちろん、単純に ”母と同じ部活とかホンマ無理” という一般的な理由もあるかもですが)
・フナQとの仲はどうなのか!?
・千里山メンバーとの繋がりは!?
・敗退した千里山に対し、その胸中は如何なるものか!?
などなど、その背景も気になることばかりです。
洋榎主将は全中で大暴れして姫松に特待入学をしていて───
打倒白糸台メンバーにて、”千里山ベース” の大阪選抜に入れられるくらいですから、当時の千里山スカウト陣営が放っておかないと思うのですが……
さてさて、その胸には一体何を秘めているのでしょう。
これまた単純に ”ウチのチームでオカンのチームを倒したるわッ!!” とかでも熱いのですけれど。
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はい。ここまで長々と語ってしまいましたが、以下で最後となります。
最後は箇条書形式にて ─── 洋榎主将の ”その他” の魅力について書いてみたいなと。
1・自分の強さを認めつつ、仲間の強さも認めるよ!! 2・妹がちょー可愛いよ!!しかもその妹からも好かれているよ!! |
3・さすがだよ!! 4・ブレザーがよく似合うよ!! |
5・牌が可哀相だよ!!(え) 6・卓も可哀相だよ!!(え) |
7・怒られるとシュンとするよ!! |
8・全国メンバーで唯一、【咲日和】の ”個人巻” があるよ!! |
9・仲良し姉妹だよ!! 単行本のここのページに付箋を付けちゃうくらいに可愛いよ!!(しらんがな) |
10・【咲-Saki- 全国編 TVアニメ版】にも 元気に登場するよ!!(知ってた) |
─── 以上、特別記事の 【愛宕洋榎の魅力とは - 洋榎主将のここが凄い!!-】
でした。
自分なりに全力でその魅力をお伝えしたつもりなのですが、如何でしたでしょうか。
洋榎主将のことも、姫松のことも、好きになってくれる人が増えると良いなーと思います。
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